重たい打ち合わせ帰りは宵の口、淡路町から神保町方面へと歩いている。若い頃この近くのオフィスに通っていたこともあり、その街並みに懐かしさばかりがこみ上げる。例えば宮地楽器、仕事帰りに店舗併設のスタジオを使ったことがあるが、なぜこんなところでリハをしたのか全く思い出せない。勢いでVOX-AC15やYairiのアコギを購入したのもこの界隈だったと思うが、どの楽器店だったのだろう。で、ふと気がつけば九段下。このまま神楽坂まで歩きながらもう少しだけ物思いに耽っていようかと考え始めている。

中野のスタジオで師匠とセッション。引き続きLarry Carlton、どのフレーズもハイセンスで、弾きこなそうと努力することに深い価値、意義を感じる。更に師匠から譜面では表現できないテクニークを伝え授けられとても有り難い、ものにするのは大変だけど。終了後、目白フランク・ロイド・ライトの小路沿いの美容室で久し振りにヘアカット。

新宿でeelleリハ。シンセに描き出された音像が小さなスタジオを無限宇宙に変える。終了後は讃岐風居酒屋でおつかれさま。

5X回目の誕生日。遊牧民は今が何月何日であるかを把握することなく生活することが当たり前で誕生日や記念日といった感覚を持たないらしい。

芸術家が非在を描き、のっぺらぼうが存在を主張する。記号としてこの夜に佇み、暗号として可視光線に舞うものたち。不意に手をかざすと、何もかもが透けて見える。