国家権力が夕暮れの山手通りを走る。お前たちは無能だと言わんばかりに大声を上げながら走る。

新宿通り沿いのビルディング。通用口から中に入ると無機物で囲まれたエレベーターホール。6階で降りるとあらゆる防火扉が閉まっている、GPSによると確かにこの場所が目的地のはずだ、しかし既に約束の時間は過ぎている。

思考の配列、意識の乗法。言葉の速度、感覚の微分商。

モノローグ、ライノタイプ。

午後、女性5人を相手に一生懸命説明を行う。矢継ぎ早に質問を浴びせ掛けられ、必死で応対すること60分。疲れ果てる。

崩れる。そのかすかな気配を感じながら、山手線に乗る。緊張、半緊張のコードが繰り返され、やがて新宿駅へ。扉が開き、朝陽が差し込むホームには整然と人々が並んでいる。しかし無機的な4ビートの裏で、不協和音が鳴っている。崩れる。