渋谷駅で下車して改札を抜け東口へ、明治通りを恵比寿方面へ歩いている。黄昏時、金色の膜が貼り付いたビルの壁面、横断歩道の向こう側で揺れる橙色の木々の葉。遠くでざわめく街の喧騒が柔らかく、胸の奥がゆっくりとほどけていく。

これを聴いていた。

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Maurice Brown『Betta Days』(2025)

今週も明けるや否や激しい渦に呑まれ。異郷の地からの帰り道、5号車11番E席にてこのテキストを記す。次々のしかかる重たいテーマが毎晩悪夢と化してよく眠れない。水曜日、どこにも架からない橋の上。

新宿でeelleリハ。皆で合わせると一人では思いつかなかったような歌い方、プレイが無意識のうちにできてしまうから不思議。終了後、香川の物産に特化した居酒屋でビール飲みながらRecに向けた段取りを相談、ゲンの提案に乗ることに。


今週も猛烈に忙しく、心の片隅で誰かが泣き出しても全く聞こえない。机の上の書類が風もないのに揺れている。目を閉じると蛍光灯の残光がまぶたの裏で暴れ出す。

これを聴いていた。

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Michael Landau『Liquid Quartet Live』(2020)


虚空と空虚。欺瞞とギヤマン。光を返すたびに痛みを増す、ガラスの欠片のよう。そして闇が深くなるにつれ音も無く割れていく。

これを聴いていた。

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Brad Mehldau『Highway Rider』(2010)