神保町交差点から白山通りを左へ、神田すずらん通りを歩いている。その昔この近くのオフィスで働いていたこともあり、懐かしさばかりが込み上げる。訪問先の古いビルの1Fロビーで時間を無為にしていると、目の前を洋紙のサンプルや原稿を抱えた人たちが頻繁に行き来する。出版=ものづくりという感覚を呼び覚ます光景、オールドメディアと呼ばれて久しいが、この街はコンテンツと装丁デザインとの関係性が今も変わらずハーモニアス。

武蔵境で下車、かえで通りを歩いている。緩やかな陽射しに現実から遊離していく街並み、その南に総合園芸「舟木園」。様々な植物が販売されている中で椿の苗木を物色、椿だけでも外国種併せて300種類、その中で「秋の宴」を選択。そんなガーデンプレイスのアンサンブルを彼方に電車庫通りを三鷹方面、秋の陽の余白は限りなく。

先日NHKで放送された「ドキュメント20min.『NO EFFECTOR,NO LIFE』」。とても良かったのでメモ。しかし個人的には好きになれないコンパクトエフェクター、セッティングが面倒だし何より重くて持ち運びが不便。なので少し前に全て売り捌いた次第。

午後、中野で師匠とセッション。今回のテーマはルカサー、バッキングは明快、ソロは難解。

終了後、馬場のスタジオに移動して新曲のVoトラックを練る。自由な発想や新しいアイデアを無心になって音程に置き換える。

ぼんやりとテレビを眺めている。不意に頭蓋骨の裏で命がはた、はた、はたと剥がれ落ちていくような感覚。

ハイハットの音が聞こえるな、ってふと我に返るとそれは沸騰したやかんのフタの音だった。脳が痺れたままペールエールを飲んでいたときのこと。