急速に冷え込む午後、新宿駅西口から都庁方面に向かって歩いている。自分に対する軽蔑とも憐憫とも愛情ともつかない思いがぐるぐる廻っている。大通りから路地に入ると短い午後がめまいのように暗く渦巻いている。不意に見上げれば比重の異なる液体が混ぜ合わされては分離していくこの世界のありさまがビルのサイネージに映し出されている。

…脳が外部荷重によって破壊されず十分機能できる応力の限界値を超えている、ような気がする。