品川駅は帰省客、外国人観光客でごった返していた。改札前の電光掲示板には遅延と発着の情報がせわしなく書き換えられ、アナウンスが同じ言葉を何度も繰り返す。大きなスーツケースが人の流れに逆らう度に空気が僅かに歪むような感覚。その緊迫感が時々途切れ、ホームに新幹線の低い唸りが響き渡る。実家に向かおうとしているところ、それは出発の合図というより、思考を中断させるための音のように聞こえる。