そういえば帰宅途中の地下鉄東西線、やたらと混み合っていた。「JR総武線人身事故のため…」と繰り返される荒々しいアナウンス。やがてそれは神主が唱える祝詞のように、細長い空洞に残響する無言のざわめきのようでおかしくなりそうだ。慌てて階段を駆け上がり表へ出るとひんやりとした夜気、ぱさぱさと流されていく粉末状の思い。

口籠もる遠雷が、まだ仕上がらない縫い目から漏れだしている。