僕にまとわり付いて離れようとしない抽象的な哀しみ。それはエゴイズムと自惚れがこびりついた暗礁、永遠に蝶番が外された蒙昧の罠。しかし奇妙なことに、それは僕の創造の動機でもあった。九頭蛇や牛頭人身獣だらけの混沌とした肺病病みな世界にあって、僕を着実に脈打たせる懐疑と絶望のメカニクスを司っているのだ。

そういえばさっき風が物憂い調子で流れ去った時、僕は御し難い不安を覚え、慌てて光の方角を確認しようとした。そして不意に思った、希望と苦悩は両立し得ないのではないかと。どんなに苦悩しても希望の方が一回り大きく存在し、その関係は常に不変なのではないかと。

これを聴きながら。

Image
Fllica『Windvane & Window』(2008)